RSL 1.0 — 日本語リファレンス

AI に「使ってよい条件」を、
機械可読で伝える

Really Simple Licensing(RSL)1.0 は、Webページ・画像・データセットに対して 「AI がどう使ってよいか」「使うならいくら払うか」を機械可読で宣言する国際標準です。 2025年9月に公開され、2025年12月に業界標準として確定しました。

このページは RSL 1.0 の日本語リファレンスです。 cert.aicu.ai は RSL を実装しており、 実際の license.xml を公開しています。

なぜ robots.txt では足りないのか

robots.txt が答えられるのは「クロールしてよいか」だけです。 生成AIの時代に権利者が伝えたいのはその先——

RSL はこれらを XML で表現し、robots.txt から指し示します。 「拒否か許可か」の二択ではなく、条件付きの許可を書けるのが本質です。

最小の例

robots.txt に1行足して、ライセンス条件の在り処を示します。

License: https://example.com/license.xml

User-agent: *
Allow: /

指し示された先が RSL 文書です。

<?xml version="1.0" encoding="UTF-8"?>
<rsl xmlns="https://rslstandard.org/rsl" max-age="30">
  <content url="/">
    <license>
      <permits type="usage">search</permits>      <!-- 検索はよい -->
      <prohibits type="usage">ai-train</prohibits>  <!-- 学習は拒否 -->
      <payment type="attribution"/>                <!-- 出典表示が対価 -->
    </license>
    <copyright type="organization">Example Inc.</copyright>
  </content>
</rsl>

語彙 — 用途(usage)

<permits type="usage"><prohibits type="usage"> に書けるトークンです。

トークン日本語意味
allすべての自動処理あらゆる自動処理
ai-allAIによる全用途学習・推論・索引・検索・生成・グラウンディング・モデル評価を含む、AIシステムによるあらゆる利用
ai-trainモデル学習モデルの学習またはファインチューニング
ai-inputAI回答の入力RAG・グラウンディング・AI回答の根拠としての利用
ai-index内部索引内部インデックスや検索用データベースへの取り込み
search検索検索インデックスと検索結果への表示(AI要約は含まない)

語彙 — 利用者(user)

トークン日本語
commercial商用利用一般
non-commercial非商用
education教育機関
government公的機関
personal個人利用に限る

地域制限は type="geo" に ISO 3166-1 alpha-2(JP US EU 等)を書きます。

語彙 — 対価(payment)

日本語意味
free無償対価を求めない
attribution出典表示目に見えるクレジットと機能するリンクを要求
contribution貢献金銭または現物による誠意ある支援
purchase買い切り一回限りの支払い
subscription継続課金アクセスの定期課金
crawlクロール従量クロール1件ごと
training学習従量学習イベント1件ごと
use生成従量推論・生成1件ごと(per inference / generation use)
cert.aicu.ai の実装

use が、生成AI時代のライセンスの核心です。 「学習に使ったか」ではなく「生成するたびに」対価が動く。

AICU の [email protected](生成商用・原作者還元ライセンス)は、 この payment type="use" として表現されます。 生成原価を差し引いた粗利の 40% が原著作権者に計上され、月次で報告されます。 AI漫画『YOUKAI』のキャラクターで実運用中です。

報告と法的宣言

<reporting> は、利用実績の報告先と方式を指定します。型は telemetry(送信データ)/provenance(来歴)/audit(監査)。 指定された方式で報告しない利用は無許諾として扱われます

<reporting type="audit"
           endpoint="https://api.aicu.ai/v1/gc/report"/>

<legal> は権利者側の宣言です。

日本語書ける値の例
warranty保証ownership authority no-infringement privacy-consent no-malware
disclaimer免責as-is no-warranty no-liability no-indemnity
attestation表明の真正性true
contact連絡先URL
proof証明の参照先URL(証明書・トランザクション等)
cert.aicu.ai の使いどころ

<legal type="proof">証明書の URL を書けます。 「この作品は確かに受賞した」「確かにこの人の作品である」という事実を、 ライセンス条件から直接指し示せます。 cert.aicu.ai/v/{certId} がその参照先です。

配信のしかた(4通り)

  1. robots.txtLicense: https://example.com/license.xml
  2. HTTP ヘッダLink: <...>; rel="license"; type="application/rsl+xml"。HTML 以外(画像・JSON・データセット)にも効く
  3. HTML<link rel="license" type="application/rsl+xml" href="...">、または <script type="application/rsl+xml"> で埋め込み
  4. RSS / メディアファイル埋め込み — 名前空間つきの rsl: 要素として

RSL 文書のメディアタイプは application/rsl+xml、名前空間は https://rslstandard.org/rsl です。

License Server(OLP)

<content server="https://api.example.com"> を書くと、 クライアントは Open License Protocol でライセンストークンを取得してから コンテンツにアクセスすることになります。

エンドポイント用途
POST /tokenライセンストークンの取得(client_credentials)
POST /introspectトークンと対象リソースの検証
POST /key暗号化アセットの復号鍵の取得
Authorization: License rsl_cnNsLWNsaWVudC0xMjM6...

条件を満たさない場合、サーバは 401 Unauthorized または 402 Payment Required を返します。

落とし穴

server を書くと、無償ライセンスでもトークン取得が必須になります。 「ただ読ませたいだけ」のページに付けると、善意のクローラまで弾かれます。 対価が発生するコンテンツにだけ付けてください。

守るべき規則

他の標準との関係

標準状態役割の違い
RSL 1.0業界標準(2025-12) 許諾条件+支払いを機械可読に表現。本ページの対象
Cloudflare
Content Signals
稼働中(2025-09〜) robots.txt に search / ai-input / ai-train の可否を書く。意思表示のみで対価は扱わない
IETF AIPREF策定中 Content-Usage ヘッダを標準化する取り組み。RFC 未発行
C2PA実装済み ファイルの中に来歴を埋め込む。RSL はファイルの外で条件を宣言する。補完関係

cert.aicu.ai は C2PA(ファイルの中の来歴)と RSL(ファイルの外の条件)を両方実装し、 さらに証明書で「何が起きたか」を記録します。

CC Signals との関係

RSL の payment type="contribution"(貢献ベースのライセンス)は、 Creative Commons の CC Signals ——AI 時代のコモンズにおける相互性を支えるための取り組み——を出自としています。 RSL 1.0 はその最初の実装です。

仕様の変更履歴

RSL は仕様本文を更新しますが、公開された変更履歴を持ちません。 実測(2026-08-11)で /changelog /rsl/changelog /history はいずれも 404、 GitHub リポジトリのコミットも README のみでした。それでも本文は 2026-08-09 に変わっています。

標準に依存して実装する以上、「いつ何が変わったか」は実装者が持つしかありません。 cert.aicu.ai は仕様ページを週次で自動監視し、変化と実装への影響を記録しています。

継続記録

RSL 1.0 変更履歴(非公式の記録)→

直近: 2026-08-09 — 名前空間と拡張の扱いが明文化されました(RSL 名前空間の未知要素は非適合、 他の名前空間の要素は拡張として無視)。

cert.aicu.ai での実装